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―唐突ですけど、ゴスペラーズとのレコーディングはどうだった?
「最高だったよ。正直、ビックリした。最初は不安な部分もあったんだ。彼らとは初めてのレコーディングだったから。ほら、みんなそれぞれスタジオでの作業の仕方って違うから。まず感服したのが、彼らは自分達でヴォーカルのプロデュースをするってことさ。グループで活動しているとお互いのエゴがぶつかり合ったりすることって多いと思うんだ。でも、彼らは自己的にならず、お互いのパートについても意見を出しあって、協力して“あそこはこうしよう”、“もう一度やってみよう”って話しながらヴォーカル録りをする。それってすごいことなんだよ。それだけお互いを信頼し合って、心を許しあってる証拠だよね。僕達(バックストリート・ボーイズ)がそう出来るかって言ったら、出来ないかも(笑)。プロデューサーにまかせっきりにするだろうな。でも、彼らは自分達でハーモニーも考えて、パートもキチンと覚えた上で、新しいアイディアを要所、要所で加えていく。すごいな、って思ったよ」
―では、今回あなたはヴォーカルのプロデュースはしなかったのね?
「そうだね。多少手伝ったりもしたけど、彼らは自分達のヴォーカルのプロデュースをキチンとやれたからね。“思う存分やってくれ!”って、彼らに任せたよ」
―でも、多少は彼らのやり方とバックストリート・ボーイズのやり方で似ている部分もあるんじゃない?というのも、スタッフの人にちょっと聞いたんですけど、スタジオで作業を始めた途端、あなたがあまりに自然に溶け込んで、ゴスペラーズと何度もやってきたかのようにレコーディングを進めていくので、あなた自身も普段同じようなやり方をしてるんじゃないかって思ったらしいのですが・・・。
「うーん、確かにバックストリート・ボーイズでも自分達だけでレコーディングしたこともあるけど、ほとんどの場合はプロデューサーに全面的に任せるんだよ。プロデューサーに任せてしまったほうが、ちょっとした誤解から余計な問題が生じたりしないからね。でも、ハーモニーなんかは僕達も同じようにやってる。プロデューサーと一緒にメンバーで考えてみたりね」
―じゃぁ、彼らのスタジオでの様子には本当にビックリしたんですね?
「あぁ。事前に彼らのCDは聴いてたから、ヴォーカリストとしてみんな素晴らしいのもわかってたけど、正直、(CDを聴いてるだけでは)スタジオでどれだけいじってるのか、どれだけ実際に歌ってるのか、今はわからないことも多いから。だから本当にビックリしたよ」
―あなたがこれまでに書いた曲の中から、今回コラボした「It Still Matters 〜愛は眠らない」を彼らが選んだんですよね?
「そう。元々はバックストリート・ボーイズのアルバム用に、6年前にソングライターと一緒に書いた曲なんだ。実はさ、今日、思い出したんだよ。そのソングライターはゲン、ゲンゾウって男性なんだけど、彼は日本人のハーフで、奥さんは日本人。すっごい不思議だよね。そんな曲が彼らに選ばれたなんて」
―この曲の英語のパートは元々あなた方が書いた詩のまま?
「そう。英語詩はオリジナルのまま。日本語詩は、(安岡が)オリジナルにすごく近い形に訳しながら彼らのオリジナリティも織り交ぜた詩を書いてくれて、イイ曲になったな、って思ってる。」
―日本語であなたが歌ってる部分もありますよね。難しかった?
「事前に何度か練習してきたんだよ。移動中とかにね。それで実際にスタジオに入ってからも、4〜5回一緒に練習して、レコーディングできるまでになった。タイミングや言葉の流れ方とかはちゃんと教えてもらわないと無理だったから。ちゃんとビートと合ってるか、とかね。陽一のパートの後の部分なんて、僕が歌う予定じゃなかったんだけど、一緒にハモって欲しいって言われて、スタジオに入ってから練習したんだ」
(そのパートを思い出しながら歌う)
―そう、その部分ですよね。
「まだ歌詩を覚えられてないんだけどね(笑)。レコーディングの最中もカンニング・ペーパーを目の前において歌ったよ(笑)。」
―ゴスペラーズのメンバー1人1人についてはどう思いました?
「みんな素晴らしかった。それぞれが、バックストリート・ボーイズのメンバー1人1人の声を思い起こさせたよ。いろんなタイプの声が集まるからこそ、素晴らしいサウンドが生まれるわけだけど、相性もよくなきゃいけないしね。彼らも、それぞれの声は違うけど、お互いをちゃんとサポートしていることが素晴らしくいい結果を生んでる要因だろうな」
―メンバー1人、1人についてどう感じたか教えて。
「えーと、まず陽一。陽一は、グループのヴォーカル・サウンドをまとめる中心という印象だね。やっぱり彼はベース・ヴォーカルだし、ベースはグループの声の基盤だからね。ハーモニーのアレンジも素晴らしい。それと、英語力も一番優れている。(黒沢)薫は、デュエットして気付いたんだけど、声が一番力強い。バックストリート・ボーイズでいえばブライアンみたいな存在だ。スタイリッシュだし、トレンディーでもあるよね。それと、安岡は、元気って印象が強いね。彼の声は僕と同じような軽快感がある声。素晴らしいシンガーだよ。(村上)てつやは、グループのなかで1番音域の幅があるシンガーだね。話すときはベース・ヴォーカルじゃないかと思うほど低い声なのに、ファルセットも完璧。ケヴィンみたいな存在だよ。それにカッコイイし兄貴的存在で、リーダーだね。酒井はニックみたいだな、って思ったよ。普段はグループの中でも一番物静か。でも、歌うと、彼の声はすごくクリアなんだ。彼の声を聞いてるとビージーズを思い出すよ。バリー・ギブみたいだな、って。ピュアでクリアな声だよね」
―ちゃんと観察してたんですね(笑)!
「あぁ、ちゃんとね(笑)。」
―今回はソングライトもしながら、デュエットも、ということになりますが・・・。
「そう、僕自身かなり入り込んだプロジェクトになるね。ビデオクリップも撮ってるし。こんな大規模なプロジェクトに参加できて、本当にうれしいよ。今回は、武道館で一緒にパフォーマンスも出来たし、合間には雑談をしたりして、お互いをよく理解し合えたと思う。お互いの文化や今の音楽だったりシンガーについても話したりすることが出来たしね。クールだったよ」
―それにしてもスケジュール的にはかなりタイトでしたよね。レコーディングを2日で済ませて、その合間にビデオクリップ撮影・・・と。普段もレコーディングは同じようなタイトなスケジューリングが多い?
「バックストリート・ボーイズでも、メンバーが集まってレコーディングするのは1日だけだったりするよ。最近は特に、それぞれのメンバーがレコーディングする時間を決めて、別々にスタジオに入るようにしてるんだ。」
―では、グループのメンバー全員が同じ時間に同じスタジオに丸2日間も入ってレコーディングするという方法は懐かしかったり、新鮮だったりしたんじゃないですか?
「そうだね。昔は僕達も全員で一緒にスタジオに入ってやってたからね。まぁ、前作まではそうしてたんだけど、今回レコーディングしたアルバムはお互いの時間を無駄にしないためにも、1人ずつ入ることにしたんだ」
―あなたはこれまでにもいろんなアーティストに曲を提供してますが、K-Ci&JoJoの”Love Me Carefully”を書いたのもあなた?
「そうだよ。アンダードッグスの2人と一緒に書いたんだ。」
―今回の「It Still Matters 〜愛は眠らない」もそうですけど、R&Bよりの曲が多いですよね。あなたが曲を書くときには、自然にR&Bのフレイヴァーの強い曲を書きがちだったりするのかしら?
「一緒にやっているプロデューサーによるね。アンダードッグスのようにR&Bのプロデューサーとだと、やっぱり僕が書く曲もR&B色の強い曲になるし、ポップスやロックのプロデューサーだったら、そういうタイプの曲になるし。他のライターやプロデューサーとコラボして作ることが多いからね」
―あなた個人的にはどういうタイプの曲を書くのが一番自分らしいと思う?
「バックストリート・ボーイズのメンバーとして世界中を回って、いろんなタイプの音楽を聴いて影響を受けてきたから、自分で枠を作りたくないというのはある。どんなタイプの音楽でも作っていきたいと思うんだ。シャーデー、コールドプレイ、ボーイズIIメン、ジョン・メイヤーと、ジャンルも年代も関係なく聴くんだよ。初期の頃の音楽的影響はポップス、R&Bだった。ポップスとロックは、今はサウンドが近くなってきてるけど、昔は違って。イーグルズやデフ・レパードは、当時は興味はなかったけど、今はすごく好きだったりする。僕のスタイルが変わったしね。コールドプレイやデイヴィット・マシューなんかを聴いて影響を受けてきてるから。シールとかスティングなんかもそう」
―イーグルスやデフ・レパードなんかは私達が子供、ティーンエイジャーの頃でしたしね。
「そうそう。当時は周りの友達が聴いてるのを聴いたりしてたからね。みんなポップスやR&Bばかり聴いてたし」
―年齢的にポイズンみたいなのは聴いていたのかな、、、と(笑)。
「あぁーーー、ポイズンは聴いてなかったけど、実はビデオ出演のオーディションは受けたんだ(笑)。子供に彼らの真似をさせるってビデオがあって、ドラマー役のオーディションを受けたんだよ」
―じゃ、ビデオに出演してるの?
「いや、受からなかった(笑)。ビックリだよ、そんなことスッカリ忘れてたから、ポイズンの名前が出て思い出した」
―じゃ、ちょっと質問をゴスペラーズとのことに戻しますね。今回のコラボがキッカケで、今後も彼らと何かの形でコラボレーションする可能性はありそうですか?
「もちろん。実際に彼らとも話はしたんだ。今度バックストリート・ボーイズで日本に来たら、2グループで一緒になにかできたらいいね、って。僕個人でも、またルーパス基金のチャリティー・コンサートを日本でやるときには参加して欲しいし、一緒にパフォーマンスできたら光栄だよ」
―この曲は本当にスウィートな内容ですよね。特に今の時代、恋愛関係でも女性が強くなってきて、“愛なんてくだらない”という女性が多くなってしまっている中、“重要なのは愛”ということが男性の口から出るというのは、正直新鮮でした。ぶっちゃけた話、愛を真剣に受け入れない男性は昔から多いわけで・・・。
「確かにそうだね(笑)」
―それにしても、ゴスペラーズとあなたのコラボはとてもステキでした。
「ありがとう。参加させてもらえて本当に光栄だと思ってる。日本は、バックストリート・ボーイズだけでなく、メンバー個人の活動もサポートし続けてくれるのが本当にうれしいんだ。いま、僕はソロ・アルバムを制作してるんだけど、ソロとしても日本でパフォーマンスできたらうれしいなと思ってる。そんな中、ゴスペラーズがソロ・シンガーとしての僕を日本の人達に知ってもらう機会を与えてくれたと思ってるし、感謝してるよ」
―今回、一緒に歌ってみて、彼らだったら全英語詩の曲も問題なく出来ると感じました?
「もちろん。100%間違いなく出来るね」
―じゃあ、彼らがアメリカであなたのライヴに参加する、というのもありえますね。
「絶対ありえるね。10月にゴスペラーズがライヴをしにロスに来るみたいだから、そのときは一緒にパフォーマンスは出来ないだろうけど、会えればいいなと思ってるんだ。彼らと仲良くなれたことは本当にうれしいね。人気グループだからといって、エゴが強いわけでもないし、本当に話しやすいイイ奴らなんだ。すごく新鮮だよね。こんなに大成功しているグループなのに。」
―でも、あなたもそうですよね。正直言って、あなたと会う前は、“嫌な人だったらどうしよう”って不安はやっぱりありましたから(笑)。
「(笑)。そう言ってもらえてうれしいよ」
―もし、次にゴスペラーズのために曲を書くとしたら、どんな曲を書くと思いますか?
「実は彼らの次のアルバムのために曲を、って話も出ていて、もし実現できれば光栄だよ。彼らのサウンドは最高だし、5パートのヴォーカル・グループとして最高のグループだと思うから、そういった部分を前面に出せる曲を書くだろうな」
―また最高のコラボが誕生するでしょうね。同時に、ふと思ったのが、彼らのMCに対するお客さんの反応を見て気付いたかもしれないのですが、彼らってすごくユーモアもあって面白い人達なんですよね。そして、こうしてあなたと話していて、あなたもユニークですし・・・次にゴスペラーズとコラボレーションするのであればバラードじゃなくアップテンポな曲も面白いかな、って思ったんですよね。
「そうだね。それも面白いだろうね。アメリカではやっぱりアップテンポを書くのって難しいんだ。ビートは誰のじゃなきゃダメだとか、ホットじゃなきゃダメだとか、サンプリングのネタがどうのってさ。でも、日本では純粋にイイ曲を求めている気がするから、ゴスペラーズとだったら、アップテンポもいいかもしれないな。今度は僕のソロ・アルバムのほうに参加してもらうっていうのもいいかもしれないし。アイディアはたくさんだよ!実はさ、僕は日本にいるといろんな新しいアイディアが頭に浮かぶんだ。たぶん、食べ物のせいだな(笑)」
―食べ物?
「そう。日本食が僕をクリエイティヴにする。日本食か酒かどちらかだね(爆)」
―どんな日本食が好きなの?
「スキヤキ、しゃぶしゃぶ、鉄板焼き、うどん、やきとりとかね。子供の頃から好きだよ。誕生日には必ず鉄板焼きに連れてってもらってたくらいさ。」
―じゃ、日本食のおかげですね。
「そう。クリエイティヴ・ジュースが入ってるんだろうな(笑)」
―日本でマンション借りて、住んじゃったらどうですか?
「いいねぇ。ゴスペラーズが僕に仕事をいっぱいくれたら、それも可能だね(笑)」
―今日はありがとうございました。
「こちらこそありがとう!楽しかったよ」
Text by Kana Muramatsu
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